Windows 10の大型アップデート「Creators Update」が、2017年4月11日に一般ユーザーへ配信される。前回までの大型アップデートと同様、4月11日から順次配信が行われるため、実際にユーザーの手元へCreators Updateの更新案内が届くまで、多少のタイムラグがあることに注意したい。

いち早くCreators Updateを利用したい場合、ユーザーが手動操作で「Update Assistant」をダウンロードしてインストールすることも可能だ。ただし、手動操作でアップデートできたとしても、そのデバイスのメーカーによる検証は完了しておらず、動作に不具合を抱えている可能性もある。この辺りは自己責任だ。

今回は一般向けの配信開始に伴い、2016年夏から開発が続いてきたCreators Updateの新機能や変更点をまとめる。

●3D環境の「Windows Mixed Reality」に対応

今現在のユーザーにはほとんど関係しないが、近い将来重要になるCreators Update最大の特徴がある。それは「Windows Mixed Reality」に対応することだ。

Windows Mixed Realityはかつて「Windows Holographic」という名称で呼ばれていたもので、2016年8月に米カリフォルニア州サンフランシスコで開催されたIntelの開発者向けイベント「Intel Developers Forum(IDF)」で初めて発表された。

Microsoftは3Dの世界を展開するにあたって、「Virtual Reality:VR(仮想現実)」と「Augmented Reality:AR(拡張現実)」の中間にあたる「Mixed Reality:MR(複合現実)」を提唱している。このコンセプトを実現するデバイスとして、専用のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)で現実空間に3Dグラフィックスを重ねて映し出すことで、ユーザーに新しいMRの体験を提供する「Microsoft HoloLens」を発売した。

HoloLensそのものはHMD内部にWindows PCに相当する機能を内蔵した「スタンドアロン」で動作するデバイスであり、この点がエンドユーザー向けに販売されているVR HMD製品(ハイスペックなPCや据え置きゲーム機に接続して利用)と大きく異なる。別途PCにケーブルをつなぐ必要がなく、スタンドアロンで動作するのは大きなメリットだが、現状では動作時間が短いという難点もある。

また、HoloLensはデバイス単体で30万円以上と高価だ。こうした特徴から、MicrosoftはHoloLensを開発用デバイス兼特定用途向けデバイスと位置付け、同社が提唱するMRの世界の拡大とプロモーション的な役割を持たせることにした。

一方で、VRを実現するデバイスとしては、現在Facebook傘下にあるOculusの「Oculus Rift」を皮切りに、スマートフォンをVR HMDとして利用できるSamsungの「Gear VR」やGoogleの「Daydream」、ソニー(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)の「PlayStation VR」など、一般ユーザーが10万円以下ないしはそれこそ数万円程度の投資で手軽にVRの世界を楽しめる環境が整いつつある。

こうしたVR HMDのトレンドに対するMicrosoftの回答がWindows Mixed Realityであり、メインストリームクラスのPCと最低価格299ドルのWindows Mixed Reality対応HMDを組み合わせることで、低予算でVRもしくはMRの世界を楽しめるようになるという。

このWindows Mixed Realityを楽しむための必要条件が「Windows 10がCreators Update以降のバージョンであること」となる。Windows Mixed Reality対応デバイスの登場は2017年前半を見込んでおり、この時点で利用可能なWindows 10の最新版であるCreators Updateを導入しておく必要があるということだ。

注意点としては、Windows Mixed Realityを利用するうえでのPCハードウェアの最低スペック要件が、当初Microsoftが提示していたものから上がっていることが挙げられる。下記は2016年11月にWindows Insider Programで配信された「Build 14971」で「Windows Holographic First Run」アプリを実行した際に表示されるスペックだ。

・CPU:4コア以上
・メモリ:4GB
・GPU:DirectX 12以降対応
・USB:3.0以上を推奨
・空きストレージ容量:1GB

これが2016年12月に中国の深センで開催された開発者向けイベント「WinHEC 2016 Shenzhen」では、より詳細に表記されたうえで変更が加えられている。特に注目点はメモリ容量とストレージの空き容量が増えたことで、プロセッサも比較的最新のもの(Skylake以降)が推奨されている。

・CPU(ノートPC):Hyper-Threading対応デュアルコアIntel Mobile Core i5(6200Uなど)、AMD Mobile CPU
・CPU(デスクトップPC):Hyper-Threading対応デュアルコアIntel Desktop Core i3(6100など)、AMD FX4350 Quad-Core相当
・メモリ:8GB
・GPU(ノートPC):NVIDIA GTX 965M、AMD RX 460(2GB)またはDX12対応以上のGPU
・GPU(デスクトップPC):NVIDIA GTX 960/1050、AMD Radeon RX 460(2GB)相当以上
・接続性:HDMI 1.4 for 60Hz HMDまたはHDMI 2.0/DisplayPort for 90Hz HMD
・USB:USB 3.0 Type-AまたはDisplayPort Alternate Mode対応のUSB 3.1 Type-C
・空きストレージ容量:10GB
・Bluetooth:Bluetooth 4.0(アクセサリー用)

なお、これらはあくまで現時点でのスペック要件にすぎず、実際にWindows Mixed Reality対応デバイス(VR HMD)と、これらの利用を想定した2017年後半のホリデーシーズン商戦(年末商戦)向けに投入されるメーカー製PCでは、「よりモダンな構成」が推奨されている。

具体的には、内蔵GPUの性能が強化されたIntelのKaby Lakeプロセッサ(第7世代Core)を推奨しているほか、内蔵GPUのIntel HD Graphics 620(GT2)とそれで要求されるデュアルチャンネルメモリの対応など、外部GPUを必要としない構成が示されている。

恐らくコスト的には2017年ホリデーシーズン商戦向けモデルのほうが安く、「Windows Mixed Realityをより多くのPCに広げたい」というMicrosoftの考えを反映したものとなっている。

なお、新デバイス対応という点では「USB Audio Class 2.0」もCreators Updateでサポートした。

従来のUSB Audio Class 1.0は96kHz/24ビットのステレオ音声に対応していたが、USB Audio Class 2.0は192kHz/24ビットやハイレゾマルチチャンネル音声に対応する。つまり、最近のUSB DACなどが対応するUSB Audio Class 2.0が、OS標準のドライバでサポートされるというわけだ。

●OS標準のペイントアプリが3D対応

ここまでは主に「コンテンツを楽しむ」うえでのWindows Mixed Realityの機能だが、Creators Updateでは「作る楽しみ」を強化する仕組みも備えている。それが同アップデートで標準搭載される「ペイント3D」だ。

ペイント3Dは、長らくWindows標準のペイントツールとして提供されてきた「ペイント」を置き換えるアプリとなる。マウスに加えて、ペンやタッチパネルの操作で、簡単に3Dオブジェクトの描画や加工が可能だ。Microsoftは、作成した3Dコンテンツをオンラインで共有できるコミュニティー「Remix 3D」を用意している。

また、ペイント3Dで作成した3Dコンテンツは他のツールでも活用でき、PowerPointの資料に貼り付けて動かして見せたり、FacebookなどのSNSで拡散したりといった機能にも対応する。もちろん、Windows Mixed Reality対応デバイスで体験することもできる。

実際に使ってみると分かるが、ペイント3Dは従来のペイントとは全く異なる操作感になっている。最初は操作に戸惑うかもしれないが、単純にペイントアプリとして2Dの加工を行うぶんにはそれほど複雑な操作を要求されない。3Dオブジェクトの扱いはそれなりに習熟が必要だが、サンプルが幾つか用意されているほか、Remix 3Dからダウンロードして加工できるので、操作のハードルは以前より下がっている。

今後、Windows Mixed Reality対応デバイスの正式リリースを経て、3Dオブジェクトや空間加工が可能なアプリが多数登場してくるだろう。

●ゲーム対応の強化

Creators Updateではゲーム対応が強化された。主なポイントは2つあり、1つは「ゲームストリーミング」を想定した機能の導入と強化で、もう1つが「ゲームモード」だ。

昨今はゲームの楽しみ方として、他人のプレイ動画を視聴して楽しんだり、あるいは自身のプレイ動画を共有して他人に楽しんでもらったり、といった仕組みが広がっている。特にFPS(First Person Shooter)と呼ばれる本人視点で進行するアクションゲームでは、プレイ画面だけでなくプレイヤー本人を含む風景を中継して遊ぶ「Twitch」のようなサービスが人気を博している状況だ。

Microsoftは「Beam」というゲーム中継サービスを傘下に収めており、このBeamを使ってゲーム配信や共有を行う仕組みがCreators Updateには実装されている。

Windows 10の「設定」アプリの中にXboxアイコンの「ゲーム」という項目が追加され、ここでゲーム関連の設定がまとめて行える。「ゲームバー」の機能を有効にすると、ゲームプレイの録画や配信といった操作を行うゲームバーが「Windows」+「G」のショートカットキーで呼び出せるようになり、Windowsの標準機能としてBeamによるライブ配信が利用可能だ。

このゲームバーとともに実装されたのが「ゲームモード」だ。

ハードウェアのパフォーマンスをギリギリまで利用できるゲーム専用機などとは異なり、PCは汎用(はんよう)アプリケーションの動作を想定したマルチタスク動作のシステムとなる。そのため、ゲームの動作に必要な性能を必ずしも最適な形で提供できるわけではない。そこでゲームモードでは機能が有効化されると、必要なリソースをゲームの動作に割り振る形で最適化を行い、スムーズで快適なゲームプレイ環境を提供する。

Win32とUWP(Universal Windows Platform)の両タイプのゲームアプリをサポートする一方で、機能が有効なのはMicrosoftが対応を表明しているゲームに限られる。これはゲームごとのカスタム設定があらかじめプリセットで提供されており、これを順次切り替える方式を採用しているためとみられる。

今後も対応タイトルを順次増やす意向をMicrosoftでは表明しているが、当面は比較的メジャータイトル中心の機能となりそうだ。

MicrosoftのCreators Update紹介ページでフィーチャーされているのは以上で、これだけを見ると小規模なアップデートに思えるかもしれない。

しかし、実際には細かな改良点が多く盛り込まれている。今回はその中でも特に一般ユーザーに重要な改良点や変更点を紹介していく。

●拡張機能に対応したEdgeブラウザ

Internet Explorerに代わり、Windows 10の標準ブラウザとして登場した「Microsoft Edge」だが、前回の大型アップデート「Anniversary Update」では「拡張機能(Extensions)」をサポートしたことがトピックだった。これにより、Google Chromeなどの競合ブラウザに機能面でようやく並ぶレベルに近づいたのだ。

もっとも、Edgeブラウザそのものは今回のCreators Updateのような大規模アップデートを導入しなくても、機能の拡張や改良が続けられており、これら成果はEdgeの公式ページや公式ブログで適時報告されている。

Anniversary UpdateからCreators Update配信開始までの約半年間で、一般ユーザーに影響を与える大きな変更点としては次の3点がある。

・FlashコンテンツのClick-to-Run対応が標準に
・Payment Request APIの実装
・EPUBファイル表示に対応

Edgeブラウザは既にAnniversary Updateの時点で「一部サイト以外ではFlashコンテンツを許可がない限り実行しない」という変更が加えられていた。

Creators Updateではこれをさらに強化して「デフォルトでFlashコンテンツをブロック」するようになっている。Flashコンテンツがブロックされたことはブラウザ上で通知され、許可がない限りは実行だけでなくコンテンツのロードそのものが行われない。これにより、モバイル利用では貴重なネットワーク帯域やバッテリー消費を節減できる。

Payment Request APIは、Webブラウザ経由でオンライン決済を行う仕組みだ。いわゆる「モバイルウォレット」に登録されたカード情報での決済を簡単に実装できるようになる。PayPalが提供しているような機能を標準実装したと思えば分かりやすいだろう。Appleは新型のTouch Bar付き「MacBook Pro」で同様の仕組みを導入しており、Apple Payのブラウザ決済の仕組みがWindows 10 PCでも広く利用できるようになる。

Edgeブラウザは電子書籍に使われるEPUBファイルもサポートした。EPUB形式におけるデフォルトのファイル関連付け先がEdgeとなり、ファイルをダブルクリックするとEdge上でEPUBファイルを閲覧可能だ。音声での読み上げ機能も利用できる。

DRMなどの著作権保護機能がかかったファイルの扱いは難しいものの、青空文庫やProject Gutenbergなど著作権フリーのEPUBファイルを配布しているサイトなどを活用すれば、さまざまな関連書籍をダウンロードしてそのままEdge上で閲覧できる。標準的なEPUBファイルであれば簡単に開けるので、簡易ビュワーとしても重宝しそうだ。

細かな操作の改善では、開いているタブを保存する機能も追加された。この機能を使えば、タブを閉じてしまっても、後から復元できる。

セキュリティの面では、サンドボックスの強化により悪意あるコード実行などの脆弱(ぜいじゃく)性を低減させている。

●セットアップの利便性を向上

新規にCreators Update以降のWindows 10搭載PCを導入したユーザーでなければ縁遠い話だが、「Windows 10にようこそ!」でおなじみの「OOBE(Out-of-box Experience)」が大きく変化しているのもCreators Updateの特徴だ。OOBEとはその名の通り、ユーザーがPCを箱から取り出したばかりの状態で提供される体験のことを指す。

セットアップに関するフローが大きく変化しているほか、各種プライバシー設定をこのOOBE画面で行えるなど、「先に適当に項目を選択しておいて、後でWindows利用開始後に細かく設定を変更する」といったことをしなくても、ある程度必要な設定を済ませてしまえる点が大きい。

またセットアップについてもCortanaの音声ガイドが導入されており、音声コマンドによる対話インタフェースでの設定も可能だ。一説によれば、これは従来のPCユーザーだけでなく、今後Windowsを採用するさまざまなデバイスの利用を想定し、MicrosoftがOOBEのユーザー体験を大きく変えていこうとしている現れだといい、その将来が非常に楽しみでもある。

●プライバシー設定の透明化

2015年7月にWindows 7/8.1からWindows 10への無料アップグレードが開始されたとき、旧OSを使い続けるユーザーはその理由として「アップグレードで動かなくなるソフトウェアやハードウェアがあること」や、「既に現状の組み合わせで満足しているので、アップグレードが面倒」といった事情を挙げていた。

さらに、「Windows 10にはプライバシー上の懸念があるから」といった声も少なくなかったのを記憶している。Windows 10はユーザーやマシンの行動データを過剰に収集している傾向があるといい、これらを設定アプリで可能な限りオフにすることを推奨する記事が同OSのリリース初期には多く出回っていた。

これに対し、Windowsの開発責任者であるテリー・マイヤーソン氏は、自らWindowsの公式ブログでCreators Updateにおける「プライバシー設定の透明化」を約束している。

実際にCreators Updateではユーザー個人の行動に関わる情報の収集について、オンとオフを一律制御できるページが設定アプリに用意され、大幅にシンプル化と透明化が図られた。前述した通り、OOBEのタイミングでこの設定を変更することも可能で、MicrosoftとしてはWindows 10でのプライバシー上の懸念に大きな関心を持っていることを示す狙いがある。

この設定のシンプル化は、Creators Updateの正式リリース前に開発中のWindows 10 Insider Previewビルドに組み込まれ、Windows Insider Programの参加者はいち早く試すことが可能だったが、同時にある懸念も呼び起こすこととなった。

位置情報など多くのプライバシーオプションは「オフ」とすることが可能なのに対し、マシンの診断(Diagnostics)については「完全(Full)」から「基本(Basic)」へと変更することしかできない。つまり「全部ではないが一部の情報は収集する」ということで、この「一部」が何を意味するのかが分からず、「ユーザーが抱いている本来の疑問に答えていない」という批判が生じたのだ。

MicrosoftはWindowsの稼働情報を収集し、製品の改善や次期製品の開発に応用する「テレメトリー(Telemetry)」という手法を以前から用いており、今回もその一環と考えられているが、Basicの中身については謎に包まれていた。

この疑問に回答すべく、米Microsoftのブライアン・リッチ氏はTechNetの投稿でDiagnosticsで収集されるデータの一覧と、Creators Updateで設定をBasicにした場合に収集されるデータの詳細を公開した。

かなりの情報量があるため読み込むのには時間がかかるが、基本的にはマシンクラッシュなどのイベントにおけるマシンの状態情報を取得し、その原因を特定するためにMicrosoftに送信が行われていると考えてよいだろう。

●導入するアプリをWindowsストア経由に制限可能

Microsoftが大きくフィーチャーしていないものの、多くのユーザーにとって影響を与えそうなCreators Updateでの変更点がこれだ。

Creators Updateでは、Windows 10でインストール可能なアプリを「Windowsストア経由のみ」に制限することが可能なオプションを用意しており、事実上旧来のWin32ベースのアプリケーションの導入と実行を遮断できる。

これには「MicrosoftがUWP+Windowsストア環境へ強引に移行を誘導している」という意見もあるが、筆者としては「セキュリティ強化」と「パフォーマンス維持」の側面が強いとみている。

例えば、旧来のWin32アプリケーションではマルウェアが侵入を試みるというリスクもある。またWin32アプリケーションはレジストリやストレージ容量を消費してOSそのものを肥大化させることがあり、これは「ブロートウェア(Bloatware)」と呼ばれてWindows固有の欠点とされる。

UWPではアプリ間で共有されるレジストリのようなものはなく、動作はUWPアプリのパッケージ内で完結するようにできているため、パッケージさえ削除すればOSをクリーンな状態に戻せるメリットがある。

一部のユーザーを除き、こうした設定を有効化しておくことで(デフォルトは無効になっている)、セキュリティやパフォーマンスの面でWindows 10を快適に利用できるようになるという考えなのだろう。

●Windows Update後の自動再起動も抑制可能に

Windows 10で悪名高い仕組みとしては、「Windows Update後の自動再起動」が挙げられるが、この仕様も一部変更された。

一般ユーザー向けのWindows 10 HomeではWindows Updateの自動更新および再起動が自動で行われ、手動設定ができない。自動再起動を行わない「アクティブ時間」の設定も可能だが、時間外ではPCの動作状況に関わらず再起動が実行されてしまう。

例えば、アクティブ時間を昼間に設定していても、夜中にPCを使うときだってあるだろう。しかし、アプリやファイルが動作していても、ちょっと離席した隙にWindows Update後の再起動が行われ、肝心なタイミングでWindowsがしばらくの間操作不能になったり、作業中のファイルが消えてしまったりすることがある。

最悪のケースでは、アップデートと手持ちのデバイス環境の相性が悪く、マシンそのものが操作不能になったり、ネットワーク接続など特定の機能が利用できなくなったり、といったトラブルも発生してしまう。

実際、Creators Updateの提供直前に、米国でMicrosoftを相手にアップデート問題の集団訴訟が起こっており、多くのユーザーの関心事であるのは間違いない。

こうした問題に対して、Creators Upadteでは、アップデート中にフロントエンド作業のパフォーマンスに極力影響を与えない仕組みが導入されているほか、可能な限り再起動の回数を減らす工夫が凝らされている。

不評だった「勝手に再起動」は事前通知制となり、アップデートの準備ができた段階で「すぐに再起動」「再起動時間を指定」「インストール作業そのものを3日間停止(Snooze)」のいずれかのオプションを選択できるようになった。

●Windows 8から引き継いだ操作系が消え去る

UI(User Interface)や操作の面でも細かな変更がある。Creators Updateで最も特徴的なのは、Windows 8のタイミングで導入されたUIや新機能がほぼ一掃され、「Windows 8らしさ」のようなものが事実上、Windows 10から消え去った点だ。

典型的なものが「Windows」+「C」のショートカットで、Windows 8であれば「Charm(チャーム)」メニューを呼び出すという同OSの象徴的な仕様だったものが、Creators Updateでは「Cortanaを呼び出す」に変更された。Windows 10を象徴するショートカットに切り替わったというわけだ。

また、アプリ間でデータを共有する「共有(Share)」メニューは、対応アプリがダイアログの一覧形式で表示される新しいUIに変化している。共有アイコンの形状もWindows 8時代のものから刷新されており、これまでのWindows 10でも数少なくなっていたWindows 8の名残が消えている。

UI面ではピクチャーインピクチャーを実現する「Compact Overlay」や、ペアリングしたスマートフォンなど他のモバイルデバイスを組み合わせて離席状態を感知してPCを自動ロックする「Dynamic Lock」など、目新しい機能も導入されている。また、高DPIのサポートが改善され、高DPIを想定していない古いアプリケーションも滑らかに表示可能だ。

●CUIツールはコマンドプロンプトからPowerShellへ

CUI(Character User Interface)はPowerShell」がデフォルトのコマンドラインツールとなり、「コマンドプロンプト」から切り替わった。「Windows」+「X」などのメニューで呼び出せるツールもPowerShellに変更されている。

PowerShellはUNIX系のシェルスクリプトの機能を意識したツールとして開発され、パイプラインを含む高度な処理系が利用可能な管理者向けのシェルだ。オープンソースとしてのライセンスも行われており、Windows以外のOSでも利用できる。

従来のコマンドプロンプトも引き続き利用が可能だが、Cortanaの窓で「cmd」を実行するか、あるいはスタートメニューにショートカットを作成する必要があり、あくまでサブ的な扱いとなった。

●大型アップデートの負荷を減らす「UUP」

最後に、現時点では意味をもたないものの、Creators Updateの次に予定されているWindows 10の大型アップデート「Redstone 3(RS3)」で注目すべき機能に「Unified Update Platform(UUP)」がある。

これは従来の大型アップデートがWindows 10本来のOSサイズ(3~4GB)の容量でインターネットから降ってくるという、ネットワーク的に非常に優しくない仕様になっているものが、最大3分の1程度(Microsoftによれば約35%)までサイズが縮小されるものだ。UUPが更新に必要なファイルのみを認識してダウンロードサイズを大幅に圧縮する。より短時間でダウンロードが終了し、ネットワークの負荷も減るだろう。

これまで、Windows 10の大型アップデートでは大容量データのダウンロードが同時期に発生することから、ユーザーやデバイスごとに「アップデートが利用可能になるタイミングをずらす」という仕組みを採用していた。しかし、UUP採用後のRS3は負荷が大幅に軽減されるため、こうしたラグは発生しにくくなるだろう。また、より短時間でダウンロードが終了することも期待できる。

実際、週に1~2回程度の間隔で大規模なアップデートがやってくるWindows Insider ProgramのFast Ringでは、このUUPを通じてユーザーによって個人差はあるものの、1GB程度までダウンロードサイズを縮小することに成功しており、その効果を証明している。

RS3は2017年秋に配信される見込みだ。

 

 

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